仕事や学校、家庭、プライベートなどで、こころの中に何かしらの悩みや困難さを抱えていて、誰かに相談したくても誰にも相談することができない、現状をどうして良いかわからないと苦しんでおられる方、一人では問題を解決することができずに、心身ともに疲れ、困っている方がいらっしゃると思います。一人ではどうにもならなくなった時には、誰かに助けを求めること、相談することが解決の近道になることもあります。誰かに相談すること、支援を求めることは、よりよく生きていくための手段・技術であり、身に付けておくことはとても大切です。
私が今まで従事してきた医療や福祉の現場、学校教育の現場などで出会ったクライエントとのかかわりを通して強く感じていたことは、クライエントの一部分だけをみていたのでは、真にクライエントを理解したことにはならず、クライエントをきちんと理解せずに、知識や型にはめて提案・提供した支援は、ほとんど何の役にも立たないということでした。クライエントを真に理解するためには、クライエントを全人的(人を一側面から見るのではなく、身体や精神(心理)、社会的立場などを含めた総合的な観点)に捉え、理解しようとすることが重要であり、そのうえで必要な支援を考えていくことが更に重要であると思っています。
大人になってメンタルの不調を抱えてしまう背景には、子どもの頃からの課題が影響していることが多々あるように感じます。近年、「発達障害」という言葉を耳にすることも多くなり、特に学校教育現場での支援を考える際には、どのようなお子さんに対しても発達の課題を考慮することは不可欠になっています。
私が様々な現場で子どもから大人までの支援を行ってきた際に、現時点で抱える困難さは、発達の課題の未達成から生じていると思われる場合も多く見受けられました。「もう少し早くケアができていれば…」、「発達の課題を補っていけば、もっと楽になるかもしれない…」。そんな思いや経験から、全人的な視点を持った子どもから大人までの切れ目のないケア・支援の提案・提供ができる場の必要性を感じました。
また近年では、メンタルヘルスに関するニーズが高まってはいるものの、メンタルヘルスに関するケアができる場は、医療現場などに限られています。そして、心理カウンセリングについても周知や需要は高まっていますが、まだまだ敷居が高く感じている方もおられるのではないでしょうか。特に、「心理カウンセリングってどんなことをするのだろう?」と、心理カウンセリングに対して不安を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
心理カウンセリングは、カウンセラーの助言に相談者であるクライエントが従うということではありません。カウンセラーと対話をしながら、認知の修正や思考の整理をしたり、抱えている問題などを整理していきます。時にカウンセラーが助言をすることもありますが、クライエント自身が自ら悩みや問題の解決の糸口を見つけ出し、クライエントが主体となって解決方法を選択できるように、クライエントに寄り添い、導いていくことが、カウンセリング(カウンセラー)の大きな役割となります。クライエント自身が新しい未来を創り出していけるように、一人の人間として精神的に自立し、今後起こるかもしれない問題に対しての予防や対処、解決ができるようになることを、クライエントとカウンセラーが一緒に目指していくことが、心理カウンセリングです。
当ルームでは、このようなカウンセリングマインドとダイアローグ(対話)の思想を基に、クライエントを全人的に捉え、それぞれのクライエントに合わせた、様々な相談、カウンセリング、支援を行っています。心配ごとが生じたとき、それによって悩みや苦しさ、生きづらさを感じた時など、一人で抱え込まず、まずは気軽に相談できる場に当ルームがなり、皆さまのお手伝いができれば幸いです。
代表 桂 明子